今回はサーフィンではありませんが、目を引いた記事だったのでダイビングの記事をシェアします。
フランス人のフリーダイバーAlex RoubaudとAlex Voyerは世界有数の僻地でダイビングをし、そこに住む生物たちの生態を捉え続けている。
2人はサメやヒョウアザラシなど、海で最も危険と言われる捕食動物たちの生態を知るにはダイビングが最適だと考えているようだ。
「フリーダイビングはスキューバダイビングと違った視点で海を捉えることができます。フリーダイビングは環境に非常に優しく、海洋生物たちに配慮した手段です。ですので、一般的な海洋写真とは異なる写真の撮影が可能なのです」
「タンクも背負っていないので自由度も高いです。深くまでは潜れませんが、立体的に素早く移動できます。また滞在時間も長いです。一度海へ出れば3、4時間は過ごせます」
2人はパリを拠点にしているため、フリーダイビングのチャンス自体は少ない。今回紹介する写真は南極やアゾレス諸島などで撮影されたが、ブルターニュ沖など国内の近場で行われることも多い。「フランスの海岸沿いは綺麗ですよ。ですが、なるべく世界のあらゆるスポットへ出掛けて美しい動物たちに出会おうとしています」
フリーダイビングの魅力のひとつはそのシンプルさにある。必要なのはウェットスーツ、マスク、フィンだけだ。肺活量が大きければそれも助けになるだろう。
2人は2013年に南極へ出掛けたが、温かい海も好んでおり、モルジブやアゾレス諸島にも出掛けている。
尚、アゾレス諸島では世界最大の魚類であるジンベイザメに遭遇している。
人間はユニークな形でフリーダイビングに適応している。人間が水に入り深く潜ると、深さに伴い心拍数が下がる「潜水反射」と呼ばれる現象が起きる。これが酸素の節約に繋がり、フリーダイバーたちは息を長く続けられるようになる。
そしてダイビング中に起きるもうひとつの現象が「血管収縮」で、これによって血液が手や足などの先端部分へ流れこむのを抑え、重要な臓器への血液提供を優先するようになる。これらの現象により、プロのフリーダイバーは3分から4分の潜水が可能になるが、一般のフリーダイバーの潜水時間は、彼らに比べるとかなり短い。
美しく優雅に見えるフリーダイビングだが、危険も孕んでいる。浮上する最後の10mは水圧差が最大となるため、水面を間近にして失神(Shallow Water Blackout)するという話は珍しくなく、ひとりで潜っている場合はこれが命取りになる可能性が高い。よって、フリーダイビングは必ず誰か(バディ)と組むようになっている。
「僕たちは安全面の基本的なルールを守っていますから、フリーダイビングは危険ではありません。とにかくバディと一緒に行動する、これが一番重要ですね。フリーダイビングに挑戦したいと思っている人は、優秀なインストラクターの元で学ぶことをお勧めします。フリーダイビングは決してひとりで行わないでください」
モルティブはダイバーたちのパラダイスとして知られる。連なる島々の水温は温かく、海洋生物も豊富だ。
「僕たちが撮影に使うのは、自分たちの呼吸と自然光だけです。ですので、写真は色鮮やかではありませんが、ありのままを捉えたものです」
彼らにとってこれまでのハイライトになったのは南極への旅だったようだ。南極は冷たい海水の恵みを受けて海洋生物が数多く生息しており、彼らはヒョウアザラシとかくれんぼを楽しむチャンスにも恵まれた。しかし、ヒョウアザラシはキュートな遊び相手ではない。南極大陸最大の肉食獣であるヒョウアザラシは獰猛な生物として知られている。
「南極大陸で初めて行ったフリーダイビングトリップでした。16mの長さのヨットで1カ月生活し、そこに住むすべての生物を観察しました。人間の文化圏から遠く離れ、そびえ立つ氷山に囲まれた中でダイビングするのは本当に素晴らしい体験でしたよ」とAlex RoubaudとAlex Voyerは語る。