絶えず変化する「波」を知る。
波は常に変化しています、時間によっては、30分しか良い状態が続かない時もざらにあります。
サーフィンに適した波がり、自分のレベルに合う波(高さ・崩れ方・崩れる場所)を理解しなくては、いつまでたっても上手くなるどころ出来ず、危険や怪我に遭ってしまします。
波を見極めることが、サーフィンの上達に繋がってくるのです。
★まずは1人で入らず、人が入っているポイントでサーファーの乗り方等で判断するのが良いでしょう、早目に自分のホームポイントを見つけ、入り続けることが上達の近道に必ずなります。
■サーフィンできる波
サーフィンできる波を見極めなくては、上達・楽しむことは出来ません。
人によって好きな波は違ってきます。「ホレてショルダーの張る波が好き」、「厚めでゆっくり割れる波が好き」、「とにかくサイズがある波が好き」・・・各々のレベルやボードによってサーフィンできる波は変わります。
波は、いくつもの要素が整うことでサーフィンに理想的な波をつくり出します。
・季節
・ウネリの数
・ウネリの向き
・ウネリの大きさ
・風の強さ
・風の向き
・潮の干満
・海底の地形
沖からのウネリが岸に近づき、浅くなった海底に当たると水は逃げ場所を失い、海面で崩れます。
波はこのように発生し、サーフィンできる理想的な波は、左右、またはいずれか片方に規則正しく崩れることが重要です。
そして、波の高さや割れるスピード、パワーなどを観察して読み取らなくてはいけず、その際に風の向きや潮の干満、地形を考慮してサーフィンできる波なのか、自分が楽しむことのできる波なのかを判断しなくてはいけません。
同じポイントでも時間を追うごとに波は変化しています。満潮時には厚くてダラダラしていた波が、潮が引くことでショルダーの張るきれいな波になることなどは日常です。また、オンショアで海面がグチャグチャでも急に風がオフショアに変わって波のフェイスが整ってくるのです。良い波を見つけるには、ポイントに到着したらその瞬間だけの波を見て判断するのではなく、今後のウネリや風、潮の変化や影響を含めて考え、予測することが大切です。
■波サイズの表現とは?
波のサイズは岸側から見て、波に乗っているサーファーが波の一番下まで降りたときに、波の一番高い部分がそのサーファーの体のどの部分の高さまであるかを判断基準にしています。「スネ」や「ヒザ」「モモ」、「腰~腹」、「胸肩たまに頭」、「頭半~ダブル」・・・というように体の部位で言い表しています。
波が無い場合には、「フラット」、ジャンク(白波が多い)でサーフィン出来ない場合には、「クローズアウト」と表現します。
また、通常時の波のサイズを表現する人もいますが、セットのサイズを言い表す人もいます。
波のサイズを判断するとき、このように人によって多少の誤差がありますのでその人の判断するクセを読むか、自分できちんとサイズを確認するようにしましょう。
■セットとは?
波を見ていると、通常より大きな波が周期的にまとまって3本前後やって来ますが、これが「セット」と呼ばれる波です。
通常時の波のサイズが自分のレベルにとって限界サイズと感じているなら、それ以上に大きいセットの波がやって来ることを想定しなくてはいけません。また、海外ではこのセットが特段に大きくなることがありますので注意が必要です。
波のサイズと同様に気にしなければいけないのが、「波の間隔」です。波の間隔が長く、なかなか波が来ない場合には、波の奪い合いは必死です。また、波の間隔が短くなることでゲッティングアウトがきつくなってきます。
■波のサイズでフィートという表現とは?
海外では、「フィート(ft)」という単位で波のサイズを表します。日本では岸側から見てサイズを判断するのですが、海外では沖側から見て波のサイズを判断します。つまり、「3フィートの波だ」と言われた場合、3ft×30㎝「1ft)=90㎝の波となり、90㎝程度の波なら日本では「腰~腹」位になります。しかし、波の裏側から計測した90㎝ですと、「頭~オーバーヘッド」位になってしまうのです。
岸側からの計測と沖側からの計測では、同じ数値を言い表した場合でも単純に倍くらい波のサイズが違いますので注意しましょう。
■波の箇所の名称とは?
・ボトム・・波の最下部、ボトムターンでスピードつける箇所
・フェイス・・波の斜面、上下左右にボードコントロールできる箇所
・リップ・・波が崩れかかる最上部、最もパワーのある箇所
・トップ・・波の上部。リップに向かって水が流れる箇所
・スープ・・崩れた波、白い泡波。スピードが無いまま乗り続けるとバランスを失う箇所
・ショルダー・・進行方向先の波のフェイス
・パワーゾーン・・サーフィン中にキープするパワーのある場所
・ピーク・・波が一番最初に崩れ始める箇所
■波の崩れる方向の呼び名に関して
岸側から見て崩れる方向によって、言い方が違います。
ピークから左は「レギュラー」、右は「グーフィー」と言います。
サーフィンに最適な波は、ピークから順序良く崩れる波です。規則正しく崩れることで波のフェイスで自由自在にライディングすることが可能になります。
ピークから綺麗にレギュラーとグーフィーの両方向に崩れている良質な波を「三角波」や「Aフレーム」などと読んでいます。このような理想的な波が発生するには、ウネリや風、潮の干満や地形などの条件が整っている場合に限られてきます。
■波チェックのポイント
波のサイズだけでなく、波質・形・状況をチェックするようにしましょう。
★他のサーファーのライディング
・波のパワー
・波のサイズ
・ブレイクの速さ
・ブレイクの仕方
・フェイスの角度
・ショルダーの張り方
・ウネリの向き
波のサイズが小さくても、形の良い波に乗るほうがサーフィンを楽しめる場合が多いのです。
規則的に一定のスピードで崩れていく波は、サーフィンに適した好条件の波と言えます。
波情報だけを頼らない
携帯電話の「波情報」によって何処のポイントが良い波なのか、瞬時に判断できる時代になりました。
■波情報や波の予想など
※BCMさんより画像を抜粋
ポイント別に動画配信・波予報配信・ファイスブックのコミュニティなど良い波に乗りたいサーファーにとっては大変便利になったと言えます。
しかし、波情報が普及することで、混雑してしまうポイントも増えて困ってしまうサーファーも多くいるのが現状です。
自分なりに天気図や波情報を駆使して波を予想し、見事に的中させて朝一からサーフィンを楽しんでいると、大勢のサーファーが押し寄せて波の奪い合いへと激化してしまいます。
こうなるとトラブルなども多発し、楽しくないサーフィンになってしまいます。波情報だけを頼りにするのではなく、天気図から波を予測して自分だけの波を当ててみましょう。
■自分で見るポイントのコツ
・自分のレベルでサーフィンできる波なのか?
・波の数と波待ちしているサーファーの数が合っているか?
・ポイントの駐車スペースが定員オーバーになっていないか?
・現状は良い波だが、今後急速に状況が変化することはないか?
せっかく、波情報を頼りにポイントに辿り着いても、自分がサーフィンを楽しめる状況なのかをきちんと判断しなくてはいけません。
■サーフィンの楽しみ方、上達への道
他のサーファーも皆入って行くし、他のポイントよりも良い情報だからといってサーフィンするのではなく、波チェックする同時に波待ちしているサーファーの数やライディングしているサーファーを確認するようにしましょう。
混雑しているポイントに無理して入るよりも、人の少ないポイントで思う存分にサーフィンを楽しむほうが絶対に良く、必ず上達します。
■天気図から読む波
日本には四季があり、季節によって気圧配置が変わります。
太平洋側は夏の南からウネリを拾い、日本海側は冬の北からのウネリをキャッチします。
季節によって決まった気圧配置から風が強く吹き、サーフィンに適した波をもたらしてくれるのです。
天気図から波を読むためには、気圧の進行方向と等圧線の間隔と数を見なくていけません。
★気圧を囲む等圧線の間隔が狭く、数が多い場合には気圧の勢力は強く、気圧の周辺では風が強くなります。
気圧の進行方向からも気圧の勢力を予測することができ、低気圧なら北寄りに進み、高気圧なら南寄りに進むことでその勢力は強くなります。
★北緯20度
サーファーは誰でもこの「北緯20度」を気にしています。
太平洋側の南から大きな低気圧が発達することで熱帯低気圧、つまり台風に変わります。この台風が20度線である緯度を越えてくる頃に日本の太平洋側の海岸へ大きなウネリが届きます。
サーファーはこの北緯20度を超えた低気圧からの波を心待ちにしているのです。
★西高東低
日本の冬は「西高東低」の気圧配置になります。
西高東低は天気図を見るとわかりますが、日本の西側に高気圧が位置し、東側に大きく発達した低気圧が停滞するのです。
このときの低気圧は台風ほどの勢力になり、北ウネリを拾う太平洋側のポイントや日本海側のポイントに波を届けてくれます。
しかし、その勢力が強過ぎることでサーフィンどころでないクローズアウト状態になってしまうこともあるのです。
夏の台風だけでなく、冬の西高東低にも注意が必要です。
また、冬にハワイのノースショアに訪れる大きな波は、西高東低の気圧配置で北海度沖に大きく発達した低気圧がもたらしていると言われています。
■潮の満ち引きに関して
潮の干満
海には「潮の満ち引き」というものがあります。
月と地球と太陽の位置関係や、月と太陽の引力によって潮位(海の水位)が変動するのです。
この潮の動きを常に把握しておくことが良い波を当てるためには重要になります。
★潮が満ちて潮位が高くなることを満潮(上げ一杯)
★潮が引いて潮位が低くなることを干潮(引き一杯)
うねり・風等の強さもあるので一概に言えませんが、満潮はサイズが大きくなるが崩れにくい波に干潮はサイズが小さくなるが崩れやすい波にという感じです。
この満潮と干潮といった潮の動きを潮回りと言います。
大潮・・潮位の干満差が最も大きな日
中潮・・大潮と小潮の中間の潮位の日
小潮・・干満差が小さな日
長潮・・小潮程度の干満差しかないが、満ち引きしない時間が長くある日
若潮・・・次の大潮へ向かって潮が動き出す干満差の少ない日
■潮位で変わる波質
波の質は、潮の満ち引きに大きく関係しています。
サーフポイントによってベストな潮位は異なります。
地形やウネリの向き、波のサイズなどによって引いている時が良いポイントもあれば、上げている時が良いポイントもあります。
サーフィンする日の潮回りを理解して、ベストな潮位の時間帯で海に入れば良い波を当てることが出来るのです。
干満差や干潮満潮の時刻は場所や日によって全く異なりますので、潮回りや潮位を把握するためにタイドグラフや潮見表などを参考にしましょう。
■赤道近くは干満差が大きい
海の水は月と太陽の引力によって海水が引っ張られることで海面の水位が上がり、満潮になります。
地球の反対側も自転による遠心力で同じように水位が上がるため、満潮になります。上がる場所があるということは逆に下がる場所もあり、この場所が干潮になります。
このように海は干満を繰り返しますが、干満差が大きくなったり小さくなるのは、月と太陽と地球の公転による位置関係によるものです。
月は地球の周りを約1ヶ月間掛けて1周しています。
約2週間に一度、満月と新月と言われる時に月と太陽と地球が直線状に位置します。
こうなると月と太陽の引力が重なって強くなり、干満差が大きくなるときが大潮です。
また、地球を中心に月と太陽が直角になる位置関係では引力が弱く、干満差が小さくなる小潮になるのです。このように大潮や小潮などは約2週間のサイクルで繰り返されています。
地球上で干満差が一番大きいのは、地球の外側に位置する赤道付近と言われています。月と太陽からの引力の影響を受け、地球の自転による遠心力が一番強いからなのです。バリなどのインドネシアでは潮の干満差が激しいために、ポイントのコンディションが変化しやすいので現地のタイドグラフを手に入れておくことは必須なのです。